I Need you,Please!:アメイジング・スパイダーマン2(☆☆☆)
風を切り空を裂き、ジョークを叩いて宙へと消える。ニューヨークの話題をさらうのは、我等が親愛なる隣人・スパイダーマン!
凶暴な犯罪に真っ向から立ち向かい、子供のいじめやコンビニ強盗にも目を配りながら。街の、人々の小さな希望を守る為。スパイダーマンは、ピーター・パーカーは、八艘飛びに駆け回っていた。
そんなピーターに訪れた、高校卒業と言う人生のピリオド。その日も戦いの最中にその身を置きながら、ピーターはひとつの決意を固めていた。
変わらぬ決意とともに、スパイダーマンは街を守り続ける。しかし仮面の裏側で、一見変わらぬかに思える日常の中。時とともに、少しずつ変わりつづける、ピーターと、彼を取り囲む人々。
マスクの秘密を共有する、恋人グウェンとの関係。心から離れない消えた実の父母と、育ての親メイおばさんの思いの葛藤。思いもかけず訪れた、幼い日の友人・ハリー・オズボーンとの再会。
思い悩み、戦い抜き、街の日々を守り続けるスパイダーマンとピーター。しかしその日々に突如、大きな楔が打ち込まれた。
電撃を電磁気を操り、街の電力を奪う謎の男・エレクトロの出現。ピーター達の預かり知らぬところ、街に君臨するオズコープの蠢動と暗躍は、関わるもの全ての意図を超えた、ある暴走を生み出していく。
危機の街。怒りと破滅の真っ直中。、敵は多く、守るべきものも多く。そしてただひとりの味方なく。スパイダーマンの孤独な戦いは、明日もまた続いていく……。
そんなわけでそんなわけで。アメ懇にて、アメイジングスパイダーマン2見て参りました!
半端なアメコミ読みの悪いところで、これはストーリー的にはきっとアレでコレで、みたいなことをうすうす想像してしまうのですが。予備知識はなるべく入れないようにして(事前に一部のヴィランの話はちょろっと聞いてしまいましたが)見に行ってきましたー。
いやほんと面白かった。二時間半にみっしりと、アクションと人間ドラマと恋愛ドラマ(この二つは別勘定)を詰め込んで、圧縮して押し込んだ感じの感のある、ザ・映画でありました。
まずなによりも、圧倒的なスピード感で押し切るアクション。ウェブを駆使し、自在に飛び回り相手を翻弄し、自由自在に糸を使いこなすスパイダーマンのアクションと、時折挟まる超スローの表現…… たぶんこれ、スパイダーセンスの表現だと思うんですが。次に起こるだろう事態(走る電撃とか)をまず見せて、それを見抜いたスパイダーマンが、それをどう予防し回避するのかを、じっくりと見せてきます。
とはいえ魅力なのは、その軽快なアクションの中に、しっかりと、実在の重さ、抵抗を見せているところ。冒頭近く、スパイダーマンが上空から降りてくるシーンで、ばたばたと風にはためいて、皺が寄るコスチューム。糸を引っかけ引っ張る時に、ぐっと腕に重さがかかる感じ。この重さを時々思い出させるところが、アクションの軽快さをより強調していると思うのです。
アクションの面白さにもう一言添えたいのは、スパイダーマンが、戦いの最中に見せるユーモラスな振る舞い。コミックのスパイダーマンは、ぼやきと口数が減らず、時々いらないこともしたりする遊び心のあるファイトスタイルが魅力なのですが。これまで映画版のスパイダーマンでは、どうしても(場合が場合でもあり)スパイダーマンの振る舞いは真面目なことが多く、スパイダーマンのお茶目な一面には、あまり触れられる事は薄かった気がします。
しかし今作では、スパイダーマンのお茶目さが炸裂。余計な一言を言ってみたり、別にそれいらないんじゃ、みたいな感じでヘルメットかぶってみたり。特にオープニング直後の一幕では、軽口を叩きながら、てんやわんやしながら、なんとかかんとか状況を切り抜けていく、そんなスパイダーマンの姿をたっぷり楽しめます。
そして、スパイダーマンの姿が。コミック的で、陽気でユーモラスであればあるほど。そのマスクを脱いでいる時jの、悩めるピーター・パーカー、素顔のアンドリュー・ガーフィールドの姿とのギャップを、実感として重く感じる事ができると思うのです。
語り続けるときりがないですし、作中の内容にどうしても触らざるを得なくなるので。先週のキャプテンアメリカの時もそうだったんですけど、なかなか中身に触れにくいんですが。今回のスパイダーマンで特に素晴らしいのは、悪役であるエレクトロ達の戦う動機が、あくまで個人的な事情、己ひとりの事情に基づいているところじゃないかと思うのです。
スパイダーマンとなる前のピーター・パーカーが、必ずしも、道徳的にものすごく立派な人間だった、と言うわけではないように。スパイダーマンと敵対する彼らもまた、悪の化身のごとき凶悪者や、理想のために道を謝った極善人と言うよりも。ほんの少し道を踏み外していた人生を歩んでいたら、いつしか取り返しのつかないところへ辿り着いてしまった、普通だった人々なのです。それこそ、ピーターその人がそうであるように。
派手さ満点のエレクトロの存在感を筆頭に、ビジュアル的な見栄えも申し分ない、冒頭からスパイダーマンの活躍が楽しめる正当続編。
キャプテン・アメリカとのこのスパイダーマンが、一週間違いで見られるなんて、と言う喜びを噛み締めつつ。ぜひ多くの人に見て頂きたい、と思う次第です。
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