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2014.12.15

断獄典例の世紀:江戸時代の罪と罰(☆☆☆)

リンク: 平成26年特別展「江戸時代の罪と罰」 | 国立公文書館 | 展覧会・イベントの検索 | 美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム].

 「断獄典例」とは、またどこの魔道書だよと言いたくなるようなトゲトゲした字面ですが、これは実在の書物の名称。
 江戸時代、前田家百万石の加賀金沢藩で編纂された法令集兼判例集の名前であります。このように江戸時代の司法・刑罰にまつわる書物資料を集めた展示が、国立公文書館で行われておりました。その名も「江戸時代の罪と罰」。
 最終日となる先週日曜。アメコミnightに行く前に、これは見とかなくちゃ、と、いそいそと行ってきた次第です。
 

 公文書館(そういえば入ったのは初めてのような気がします)を、ぐるりと取り囲むような恰好の特別展示。すべて見ると丁度建物を一周する案配で、ケースの中には貴重な公文書の数々が。

 江戸時代の中期、将軍吉宗の名により編集された「公事方御定書」を皮切りに、江戸時代の司法制度と刑罰、江戸初期の殺伐たる頃から、経済的に爛熟するまでの、犯罪とそれに対する刑罰の歴史に端を発し、裁判の実態、拷問と冤罪、そして数少ないながらも、冤罪に対する問題提起の文書。
 判例集から覗き見る、さまざまな罪と、それに対する罰。そして過酷をはるかに超えた牢獄の姿。明治初期、自らの収監の経験を生かして牢獄の姿を描き出した河鍋暁斎の絵画。

 やがて明治維新を迎え、海外に互せんとする日本政府が、刑法を定め、法治主義を宣言し、そして悲惨に過ぎた牢獄にも改善の手を入れて。徳治、人治の中世から、法治を目指す近世へと向かうところまでを、幾多の資料と解説パネルで物語っています。
 最後は法の表裏にいた庶民のヒーロー、長谷川平蔵と鼠小僧次郎吉の、文献から窺えるその姿を描き出し、幕としています。同僚だか上司だかが長谷川平蔵を評した、「あいつはやなやつだけど有能」と言う評がちょっとおもしろすぎる。

 ちょくちょく挟まる解説パネルが、これがまた面白いのです。
 江戸時代、盗みの被害を訴える時は「九両三分盗まれた」と言うのがつねで、これは「十両以上の盗みは死罪」とのお定めがあるから。いくら盗人とはいえ、十両で命を奪うのは忍びない、と、被害者も奉行所も暗黙の了解で、九両三分の被害、と訴える事がよくあったのだとか。
 放火の罪は、実際に行わなくても、投げ文とかうわさを流しただけでも死罪上等。厳しい。ただし自ら認めた場合は、かなり刑が減軽されるらしい。

 不義密通の罪は、いろいろと細かく分かれていて(主人の妻とどうとか、主人の娘とどうとか)、全般的に厳しいのですが、実際には当事者同時の示談で済ませてしまうケースがほとんどで、奉行所まで持ち込まれることはあまりなかった(つまりその刑罰が発動することもあまりなかった)のだとか。
 これだけ刑罰が細かくしかも厳しい、そしてごまかすルートが確立されていると言うことは、浮気だの不倫だの、それだけ多かった、ってなことなんでしょうね……。

 江戸に出仕することになった藩士に、江戸経験のある別の藩士が送った江戸ガイドブック的なものがあり、これがいろいろ面白いのですが。中に書いてあったスリの項目が面白い。
 巾着切り、つまりスリは、巾着切りだとすぐに解るような、独特の服装をする決まりになっているんだとか。だれがそれ決めたんだとか、そんな「私はスリです」的な恰好をしていて、いろいろ大丈夫なんだろうかとか、気になる点が盛りだくさんなのですが。実際にアドバイスとして送られている本が残っているところを見ると、本当にそういうものだったのかも知れません。
 からかってるんじゃないかと言う可能性も棄て切れませんが、「擦られたら金は返ってこないから諦めたほうがいい。ただ印籠とか大事なものをすられて、どうしても取り返したい時は、髪結いの伝手でスリと繋ぎが取れる」とか、なんか実体験籠もってる感じなんですよなあ。

 短い時間ではありますが、非常に興味深く、面白い展示でありました。図説が薄い本なかんじで200円と、お手頃なのも嬉しいところ。
 公文書館そのものも興味深く、となりの国立近代美術館とあわせて、また行ってみたいと思う次第です。

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