シンシティ、女神とクズ共と舞踏と死(☆☆☆)
買っちゃった。
リンク: 映画『シン・シティ 復讐の女神』公式サイト.
ベイシンシティ。悪の栄える罰なき街。
法のもと理不尽な暴力が横行し、無法者が自ら定めた掟で秩序を守るこの街で、元刑事ハーティガンが命を落としてから4年の時が過ぎていた。
ハーティガンは、戦って死んだ。猟奇殺人鬼の息子を庇う、街を牛耳る暴君、ロアーク上院議員に歯向かったのだ。名誉を奪われ、自由を奪われ、ついには命さえも失いながら。ロアークの息子を倒し、彼の被害者リストの最後のひとりを。ナンシー・キャラハンを守り抜いたのだ。
そして、今。ナンシーは生きている。そして、ロアークもまた生きている。
ロアークへ、己自身に、そして孤独を残したハーティガンにすら怒りを湛えながら。男たちの前で踊る日々を、煮えたぎりながら過ごしていた。
ナンシーが踊るバーには、それぞれの物語を背負う男達が集まる。
強運とテクニックとで、街の有力者達を相手に賭けを挑む、若きギャンブラー・ジョニー。
ストイックに己を強く律しながら、かつて自分を棄てた女・エヴァからの呼び出しに応じてしまった私立探偵ドワイト。
そしてナンシーを見守る、不死身の暴漢。暴力と筋肉の塊、傷だらけの無頼漢マーヴ。
過去に、現在に針は飛ぶ。そしてときにそれぞの行き道が交錯しながら。四人の、ロアークの、エヴァの物語は、シンシティの物語はふたたび綴られ始める。暴力の街に、権力の掟に唾を吐きかけた、四人の辿る結末とは……。
てなわけで、「シンシティ:復讐の女神」。見て参りました。
前作から10年近く経っているわけですが、それでもなお独特というよりほかない、ほぼモノクロの画面に、一点赤が映える演出と言うより画面構成は、陰影のはっきり立ったモノクロの原作コミックの世界の中に、実存在の俳優を落とし込んだと言うべきもの。とにかく、映画の全編を貫くこのビジュアルは鮮烈で、未だに独特。
ストーリーは前作と同様、シンシティと言う都市と、登場人物を共有する、いくつかの短編ストーリーが並行して語られるスタイルとなります。前作「シンシティ」は3本の短編でしたが、今作は4本のストーリーライン。マーヴ、ジョニー、ドワイト、そしてナンシー、それぞれが主人公とするストーリーが、一本の映画の中で語られるわけですね。なかでもマーヴ、ナンシー、そして彼女の勤め先であるバーは、物語のハブとして、幾度となく登場する事になります。
かつまた、前作ではすべて原作のストーリーの映像化でしたが、今作では4本のストーリーのうち、2本は映画のために新しく書き起こされたストーリーと言うのも見どころ。ギャンブラー・ジョニーは、そういう意味で原作に登場しないオリジナルキャラクターと言うことになります。
ただし。ただし、と言わざるを得ないのですが。この構成がこの映画の一番の難しいところでありまして。
それと言うのも。それぞれのストーリーラインは綺麗に分かれているわけではなく、ちょっとずつかぶっていて、この話をちょっと、そのあとこの話を長めに、みたいな感じでつなぎ合わされているんですが。それぞれのストーリーの時間軸が、前後にわりとずれていて。それも前作の話まで含めた形で、時間軸が前後しているので…… 「~復讐の女神」のドワイトのストーリーは、「シン・シティ」のドワイトのストーリーよりも前の話だったりする…… ので。つまるところ、その辺がわかりにくいのです。かなり。
そもそもが。誰とは言いませんが、前作で死んでいるキャラクターが、普通に出てきていたりするので、ああこれはあれより前の話ってことなのね、って、これ原作読むなりなんなりして、予備知識がないと相当混乱するよなあ…… と。死んだ人が出てきたと思って、過去の話なのかと思ったら亡霊だった、なんて言う演出もあるわけで。ほんとに。
そんなわけで、万人にお勧めとはちょっと言いがたいのですが。
ドワイトのエピソードで登場する、エヴァ・グリーン演じる(役名も)エヴァは、一度見ておくべき強烈なキャラクターだと思います。全編通して、服着てるシーンより全裸のシーンのほうが多いんじゃないか、と言う、そんな感じの人なのですが。彼女の振る舞いようの振り切れ方は、ぜひ見ておくべき名演だと思うのです。
そんな感じで、万人にお勧めとは言いがたいですが、前作を見た方、このビジュアルに!ってなった方には、ぜひに見て欲しいと思う。ちょっと難しめではある、こちらの一作でありました。
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