水を遡り青梅へと辿り着く。(☆)
多摩湖は今日も青い空。そんなわけで自転車に乗ってきた話です。
そうだ西に行ってみよう、みたいな感じのノリで、青梅と言うか宮ノ平まで行ってきました。
そもそも青梅に行こうと思ったのはついでみたいなもので、そもそもの目標は野山北自転車道に行ってみたい、と言うのがきっかけでして。
そんなわけで、多摩湖を北回りコース、つまり多摩湖と狭山湖の間の谷間を抜けて、野山北六道山公園の方を目指します。
途中でコースを外れ、一気にがーっと気分良く坂を駆け下りる。村山温泉かたくりの湯を右手に通過して駆け下りた先が、野山北自転車道との交点となります。
ここを西へ行くと箱根ヶ崎までほぼ真っ直ぐ一直線、東に行くと山を登る道となり、多摩湖の方へと一直線に続くトンネルの続く道となります。そう、自転車道なのにトンネルあるんですよここ。
その(こっちの方角からすると)最初のトンネルが、横田トンネルなのですが。
補修工事してました。おおお……。
後述しますが、建造されてから100年近く経つはずのトンネルです。安全のための補修工事はやむを得ないと言えるでしょう。とりあえず気を取り直して、さっき駆け下りた坂道をえっちら上り、もう一つの目当てだった歴史民俗資料館へ寄り道します。
するはずでしたオーノー。
まさかのここも臨時休館。これもう帰って寝てたほうがいいんじゃないかなあ、と既にふて腐れた気分になりかけましたが、さらに気を取り直して、隣のかたくりの湯も覗いてみます。
さすがにここはやってました。まだ午前中の結構早い時間なんですが、駐車場にはかなり車があり、出店が出ているなかなかの人出です。
資料ではこのかたくりの湯、地下1500mから組み上げた温泉で、立派な施設なのですが市営の温泉なのだそう。そのためなのか、武蔵村山在住の人とそれ以外の人では利用料が違ったりします。
温水プールもあるそうで、家族連れには丁度いい場所。今度はここを終点に見据えて、自転車乗ってくることにしましょう。
さて、横田トンネルには入れませんでしたが、その先にはまだ自転車道とトンネルがあります。そんなわけで、坂道を降りて登って迂回道。曲がった道を辿って、トンネルの先へと辿り着きます。
途中ちょっと道に迷ったせいで、いきなり終点に辿り着いてしまいました。おまけにここも工事中。
野山北自転車道の終点、赤坂トンネルです。ご覧の通りで中には入れませんでしたが、入ってもこの先には何もないのだそうです。
ちなみに通れるトンネルもきちんとあります。長さはそんなでもなくて、向こうが見えるくらい。
終点に何もない、山の中で唐突に終わる自転車道。なのに何カ所も、山を掘り抜いてトンネルまで作って、まっすぐな道をこしらえている。
なんとも不思議なこの野山北自転車道なのですが。このまっすぐな道は、西へ西へとまっすぐ伸び、横田飛行場でいったん途切れた後、羽村近く、多摩川の近くまで続いています。
多摩湖と多摩川を、最短距離で結ぶ道。この道はなんだったのでしょう。
なるサイトさんの記事、線路を歩こう。の記事に、詳しい開設が書かれていました。
この道は、鉄道跡でした。もともと、多摩湖、すなわち村山貯水池を作る時、多摩川の水を貯水池へ引くための導水路として、そしてその導水路を作るための軽便鉄道として作られたもの、ということのようです。
村山貯水池と導水路が完成し、水が溜まって多摩湖が出来たため、軽便鉄道は廃止されましたが、さらなる水不足に備え、すぐ北にもう一つ貯水池を作ることになりました。山口貯水池、即ち狭山湖です。この道には鉄道が再び整備され、山口貯水池が建設されました。
山口貯水池の完成後、ふたたび鉄道は廃止されましたが、戦時中になって三度目の復活を遂げます。山口・村山の両貯水池が、戦時中に爆撃に備えて、コンクリートで補強工事が行われた事は(そして近年の耐震改修工事で、補強前の設備が発見され復元された)ことは、地元では有名ですが。その補強工事の資材を運ぶため運用され、そしてまた完成とともに撤去されてしまった、と言うことのようです。
何度も鉄道になりすぐに廃止され、と、ずいぶん慌ただしい経緯を辿ったこの道ですが、下に水道管が走っているせいで、車道となることもなく。まっすぐなこの道は、遊歩道として、また自転車道として、今に至るも整備されている、と言うわけなのです。
そんなわけで、理屈の上ではこの道をずっと行けば多摩川まで行けるはずなのですが、残念ながら途中に横田基地とIHIの工場があり、そこでぶっすり途絶えています(その先に回り込めば、道を辿っていけるようなのですが)。
そんなわけで、この日は自転車道だけに絞ってまっすぐに。そういう視点で見てみると、遊歩道に面しているのに、両脇に立つ家家はすべて背中側、庭側をこの道に向けています。防犯上の理由かとも思いますけど、庭なりお勝手なりが割と丸見えなわけで、そういう訳でもなさそうです。ここに鉄道があった頃の間取りが、今にも影響を及ぼしている、と言うことなんでしょうね。
横田基地の北を回り込み、箱根ヶ崎駅の前を通過して、羽村駅方面へ。ここでちょっとだけ寄り道して、懐かしい名前を覗いてきます。
羽村動物公園(正確には羽村市動物公園)。ここ羽村にある小さな動物園です。
小さい頃に家族で来たのやら、あるいは小学校の遠足で来たのやら忘れましたが、ともかくも小さい頃にここに来た事があるのは確かで。こんなところだったっけかなあ、名前しか覚えてないなあ…… と思いつつ、ここもまた来ようと思いながら、先を急ぎます。
羽村駅公園から、青梅の方向へ、北西へ北西へと進みます。
途中から左手はずっと多摩川に。斜面の途中を走っている風情で、左手、川の側はもうずっと崖かと思う急峻な下り。そのぶん、ちょっと寄って見渡せば眺めは絶景で、このあたりは天気も素晴らしく。ずっと富士山を捉えながら走っておりました。
そんなわけでちょぼちょぼ寄り道したら、猫が崖ぎりぎりをのんびり歩いておりました。
青梅線に沿って、多摩川に沿って。扇を根元に辿るように、袋の口へと向かうように。川沿いをどんどんと北西へ。なんだか急に、街並みの中に古い映画のポスターが混ざるようになった、と思ったら、今度は赤坂キャラが混ざるようになって。なんだなんだ、と思って辿り着いたのが、青梅の駅でした。
青梅に赤塚不二夫会館があることから、赤塚キャラ押しなんですね。なるほど。
当初ここらで引き返すつもりだったので、お昼を食べる場所を…… と思ってうろうろしているうち、山を登ってさらに青梅線を行くルートに入ってしまい。もうそれなら次の駅まで、と宮ノ平駅まで行ったところで、ようやくお昼にありつきました。いただいたのはきのこ天そば。川べりには蕎麦屋さんが多い気がしますが、水がいいからなんでしょうかね。
当初の予定では、ここから多摩川に沿って是政のあたりまで行く、予定だったのですが。うっかり変なところで川べりまで降りてしまったら、ブレーキを離したら即座に死ぬ、と言う坂道のあと、自転車道どころか道すらない河原まで降りる羽目になってしまい。ほうほうのていで坂道を登りなおすことに。
多摩サイクリングロードの始点というか終点と言うか、とにかく川べりの道を探してうろうろしたり。ロードの人を見かけて、さては方角的にもあってるしこの人についていけば、と思ってしばらく走っていたら、川に出ないうちに羽村の近くまで戻ってきてしまったり。
そんなことをしているうちに、時間ももう夕方にさしかかってきたので。日が暮れるのだけは勘弁、と、大人しくまっすぐ帰る事にして。自動車に煽られながら新青梅街道に乗って、えっちらおっちらと帰ってきた次第でありました。途中、走っている最中に、行きに通った野山北自転車と再度交錯。なるほどここと交差しているのか、と、しばらくそっちを辿っておりました。
冬の電波塔。
そんなこんなで。青梅まで行ったら調子に乗りすぎて、ほうほうのていで帰ってきた、みたいなお話でありました。
ともかくも青梅まで行ける事は解ったので。次はもうちょい手前で、多摩サイクリングロードの始点を目指したいものだと思います。つまりまあ、下調べは大事だよね、ってことで。ひとつ。
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