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2015.05.16

春のジャムステック一般公開日。(☆☆☆)

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 研究船・白鳳丸。りりしい白い船体に、オレンジのごッついクレーンがまたすてき。

リンク: JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック.

 海洋研究開発機構。日本の海洋開発のいろんなあれこれを引き受けて、海洋や海底の研究を行っている、テクノ船乗りの皆さんと言うかボイジャー科学者の皆さんの研究所であります。
 横浜と横須賀(あとむつ市)に研究所があるのですが、横浜と横須賀ではそれぞれ、春秋に年一回ずつ一般公開日を行っています。昨年もお邪魔してたいそう面白かったので、今年も行こう、と示し合わせて、行ってきた次第だったのであります。

 それにしてもこの一般公開日、内容はものすごく本格的で気合入っているのに、ところどころ妙にハンドメイドというか、ゆるい雰囲気が漂っているのが素敵なところ。なぜか毎回出ているシーモンキー釣りの出店とか、研究者行動展示(要するに普通にお仕事してるところを見物できる。いろいろ面白いもの見せてくれたりする)とかがあると思えば、セルロースを分解する深海エビの標本とか、水中探査無人機であるAUVやROVの実機が圧倒的な迫力で展示されていたり。その硬軟織り交ぜた面白さは今回ももちろん健在でした。

 とはいえ今回非常に印象が強かったのは、海底資源開発についての研究調査です。国の方針として、JAMSTECは海底資源の開発という五カ年計画に取り組んでいる最中。水中探査機の開発から、海底資源の調査、さらには新型の調査船の建造に至るまで、JAMSTECの全体がこの目標に取り組んでいる、と言う印象です。
 ただ実際問題として、海底資源を発見し、埋蔵している場所を絞り込んだとしても、それが経済的な採算ベースに乗るかと言われると、相当難しい問題ではあるらしいのですが。それはそれとして目下のところ。JAMSTECのいろいろな分野の研究が、現在その海洋資源の調査、と言うゴールに集約されようとしている。そんな感を受けた一日ではありました。ただまあ、それはいいことなのか、そうではないのか、と言う感もありますが。

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 さてこれは、稼働から25年を迎えた有人探査艇しんかい6500のロボットアーム。ごっついクローであります。
 ちなみに握力は30kmくらいとのこと。なんともすごいパワーですが、新型のROVはこれをさらにはるかに上回るパワーを持っている、と言う話はあとで伺ったことでした。なぜだか一緒に行った烏羽さんが、クローを見るたびに握力を確認してましたよ。

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 これこれ。去年見てすっごい気になっていた水中グライダーです。
 グライダーと言うくらいで、動力をほとんど用いることなく浮上と沈降を行う事ができる、超省力型の水中観測機です。バッテリが胴体の中で移動することで、重心バランスが変わり、それだけで浮いたり沈んだり出来る、と言うしくみ。沈めたままで数年もそのままにして、センサーで長期間データを集めることができる、おまけに一機あたりのコストが非常に安く済むので、大量にばらまいて運用できる、と言う、これまた面白いシステムです。
 去年に比べると目立つ場所に展示してあり、運用のほうも今年もう一回テストに成功していて、来月は深海に放り込んでテストをするのだとか。すっごい楽しみですこれ。

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 JAMSTECの擁する無人探査機も、揃いぶみで展示されています。「ゆめいるか」と並んで展示されていたのは、アーム一本型の「おとひめ」。このおとひめについてはロボットアームの体験操縦をやっていて、これまた大変な人気だったのですが。自分は隣においてあった制御系のPCとかの画面に目を奪われておりました。これロボットアームの操作に使ってるPCに、USB接続のゲームコントローラをつなげていて、臨時でゲームコントローラで動かせるようにしてたみたいで。コントローラを操作するたびに、PCの画面で動いてるサーボに表示やら数値が出てきて、つまりその、うおーうおーとなっておりました。

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 ちょこんと隠すように置いてあったマスタースレーブっぽいコントローラ。たぶんこれが実際に使う本物なんでしょうね。

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 横倒しになってるのでわかりにくいですが、これは太平洋で使われているm-TRITONブイ。太平洋、赤道近辺にグリッド状に配置され、他の各国の設置しているブイと分担して、赤道近辺の海上気温を初めとする、様々な海洋データを集積・送信しています。
 本体重量だけでも2.4トン、実際にはこの下にさらに4トンの重りがつなげられ、流れ止めとなっています。

 このトライトンブイの話で抜群に面白かったのは、電源回りの話。というのはこのトライトンブイ、赤道に設置されているにも関わらず太陽電池が使われていません。お話を伺うと、技術的にはもちろん使えるしむしろ条件は最適なんだけど、でも使えないとのこと。それじゃあその原因はなにかと言うと、魚なんですよ、と。

 え、どういうことなんですか。と伺ったら、見せて貰ったのは後ろのPCでずっと流れていた、海中のトライトンブイの映像。ずっと海中に設置してるだけあって、貝とかいろいろくっついてて大変だな、と思ったのですが。問題はそれどころじゃなくて。どうもこのトライトンブイ、設置したはしから、魚礁になっしまうのだそうです。
 小さい魚がまず集まり、それを狙って大きい魚が集まるようになり。さらには海鳥がやってきて、それを見つけた付近の漁師が最終的にやってきて。で、太陽電池とかつけてると、持ってかれちゃうそうなのです。
 なんでも一回、どれくらい集まってるのかと魚を獲ってみたら、カツオかなんかが250キロも取れた、とか言ってたので、そりゃまあ、漁師も来ますよね……。
 我々冗談のつもりで「これ地元の漁師と提携とかしたほうがいいんじゃないですかね」とか言ってたんですが、ほんとにその方向も検討しているんだそうです。なんというか、事実はプロットよりも強烈ですな。

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 AUVは無線で航行しますが、それに対して母船から有線で接続されて操縦されるのがROV。
 そのROVの最新モデルが、このかいこうMk-IV。母船「かいれい」から、親機子機が合体した状態で海中に投入され、さらに親機にあたるランチャーから、子機にあたるビーグルが分離して、それぞれが調査を行います。なんだかまわりくどい方式に思えますけども、一回ランチャーを経由することで、ケーブルを引っ張りすぎて海流に流されてしまう、てな状況を防げるみたいなんですね。
 この写真はかいこうMk-IVのビーグル部。となりにランチャーも展示されていました。
 このかいこうのアームは、実に片腕250kg。ペイロードも300kgとかなりの重量を運搬可能で、かつまたアームの先をカッターに換装したり、アームにさらに金具を持たせて、岩盤を引っぺがしたりと強力かつ柔軟。岩石サンプルを取得している映像が流れていましたが、かなりのパワフルであります。

 AUVにROV、それにしんかい6500のような有人探査艇と、さまざまな種類がありますが、用途によってそれぞれ使い分けることが大事であり、有人無人に統一するようなものでもないようです。
 ROVは母船上で、モニタを複数の研究者が見ることができるのが利点であり、有人探査艇については、なにより研究者が、対象を肉眼で見られる、カメラ越しではなく肉眼で見られる、と言うのが大きなところで。特に生物学の分野では、非常にそれが重要な問題になる、と言うお話でありました。
 
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 こちらはパネルでの展示ではありますが、現在建造中の新型調査母船。
 ゆめいるかやおとひめといったROVを同時複数運用する能力を持ち、先程の五カ年計画に沿って資源探査を主な任務としている新型船です。

 そんなこんなで生憎の天気ではありましたが。朝の10時ごろに入って、夕方の終了時間、4時ころまでがっつり見入っていた、それでも飛ばし飛ばしだったという、いつもの調子におちついた見学でありました。
 知る人ぞ知る、と言う感じではありますが、それでも、というか、とてもそうは思えないほどに、ご家族連れはじめ、かなりの混雑を見せていたこの見学会。
 また秋の横須賀のところにも行きたいし、そのときには今日これらの最新情報が聞きたいものだと。そんなふうに思った土曜日でありました。

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