謎と無邪気と擬人化と:鳥獣戯画展(☆☆☆)
リンク: 特別展「鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-」.

兎に蛙に猿にもろもろ。
まるでというか漫画そのものな、微笑ましくもあれば、ちょっとブラックでもある絵巻物。
誰もが名前を知っていて、一度は目にしたことがあるものなのに、誰が描いて、いつからそこにあるのか、はっきりしたことは良く解らない。まるでというか、漫画そのもののような成り立ちを持つ、鳥獣戯画。
半年以上前から楽しみにしていて、とうとう年間パスまで買っちゃった鳥獣戯画展。見て参りました-。
まず、これから見に行く方のためにあれこれ申し上げますと。
なにはともあれ、めっちゃ混んでます。覚悟しましょう。
で、この展示会。「鳥獣戯画 京都高山寺の至宝」展なので。全体のおおむね四分の三は、京都高山寺の文物の数々。残り四分の一が、鳥獣戯画、甲乙丙丁全巻の展示、となっています。
で、会場内に入りますと。さらに中に甲巻を見るための待ち行列があります。その甲巻ほどは待ちませんが、乙丙丁巻(三つ一緒)を見るための待ち列も、中にある、と言う寸法。行列イン行列です。
ちなみに開場が9時30分。僕が着いたのが10時くらいで、その時点で入場60分待ち。さらに中に入って見て回って、最後に甲巻を見る行列に並んで、そこで80分待ち。
ゆえに。順番としては滅茶苦茶ですが。開場前に到着して、まずは甲巻の列に並んで甲巻を見て、乙丙丁の残りの巻を見た後、のんびり高山寺の至宝を楽しんで帰る、と言うのが、正しくはないけど楽な見方ではないかな、と思います。
念押ししますと、甲巻の行列もなかなか半端なく、昼ごろになっても人がなかなか減りません。どのくらい半端がないかと言うと、ふだんの特別展ではミュージアムショップがあるあたりの空間が全部とっぱらいになってて、そこが甲待ちの人の待機列になってるくらいです(ミュージアムショップは押し出されて、退場口の外にあります)。
で、鳥獣戯画の実物の展示は、ものとしては全部あるんですが(巻物ですからね)、見られる状態で展示してあるのは半分だけ。巻物はそこでくるっとまとまって、そこから先の部分はパネルでの展示となっています(なので、絵だけ見るのであれば全部見られます)。
5月17日に展示の入れ替えがあり、そこで前半と後半が変わるようです。つまりそのタイミングでまた混むと思うので、気をつけましょう。
また鳥獣戯画には明治時代に修復が行われた際に作成された模写があり、本館で行われている展示では、その模写の甲巻全巻が展示されています。ところどころ、パネルでオリジナルと比較していたりして、こちらも面白い展示。帰りに覗いていくのがお勧めです。自在置物も見ていくといいですよ。
さて鳥獣戯画もさることながら、高山寺、そして明恵上人にまつわる展示も興味深く、こっちも非常に楽しいものでした。
高山寺は明恵上人による開山で、当時の仏教における文書センターと言うか画像センターというか、そういった役割を果たした寺で、今日伝わっている仏教関係の文書の多くにも、かつて高山寺が所蔵していたとされる「高山寺」の印があるものが多いのだそう。おそらくその関係で、出所不明の鳥獣戯画も高山寺に伝わっていたのではないか、と考えられているようです。
その明恵上人が活躍したのは、鎌倉時代の前期。それこそ鎌倉新仏教が勃興し、仏教界そのものが大きく動揺していた時期でありました。
この時代どうしても、旧態依然とした旧仏教界に対し、華々しく鎌倉新仏教各派がデビューした、みたいな捉え方をしたくなってしまいますが、浄土門に対して聖道門とされた旧仏教派も、自らを省みて、大きな改革を行っていた時期でもありました。
明恵はまさにその旧仏教、体制内改革派というべき人物で、会場の展示にもあった華厳経と密教の統合のほか、律宗の復興、つまり戒律の復興運動、そして当時凄まじい勢いで拡大していた浄土宗との論争と、仏教界を支えるべく活躍した人物でありました。
勢力的で、また学僧としてもものすごい人物であったとされ、そのことを考えた上で展示を見ると、二度も天竺行きを企図し、それを断念したことに、果てしない情熱と挫折を感じる気がするのです。
とまあそんなわけで、鳥獣戯画以外のところも面白いのできちんと見ましょうね、と言う話です。
鹿かわいいですよ鹿。あと子犬。
その他、会場で漏れ聞いた、ちょっと面白かった話とかいろいろ。
・兎かわいい蛙かわいい、って盛り上がっていた、列の後ろの女の子二人。
「ピーターラビットのお父さん! めっちゃうまい!」。その話いましなくても。
・ちなみにその子はそのあと兎飼ってる話をしてました。大丈夫なのその子。はらはら。
・「はくびょうって言うのに猫じゃないのね」
奥様それ白描画です。白猫じゃないです。
・その白描画の例(たぶん)として阿弥陀鉤召図がありますが、これはびっくりする。
ちなみにこんなの。いいのこれ。怒られないの。
・ちなみにびっくり系だと、光明真言功徳絵巻の下巻がかなりのびっくり系です。
これは検索しても出てこないので、ぜひ会場で七色破壊光線を見て頂ければ。
・ツノがあるのが狛犬で、ツノがないのが獅子。
へえーへえーへえー。
・明恵上人の英語表記が"Myo'e"。アーティストっぽい。
・ちなみに密教のことは"esoteric buddhism"。秘密仏教、って感じでしょうか。
・さらに気になってesoteric buddhismで検索してみたら、vajrayanaよりも上位にShingon Buddhism(真言宗)が出てきてOh。これがSEOってやつですか……。
・小さい展示物を見るために、オペラグラスを持って来ている人がいた。それも二人くらい。
あれはいいですね。マネしたい。
・会場、上の方にプロジェクタで絵巻を展示していましたが、あれはなかなか。巻物とプロジェクタは相性がいいのかも知れません。
最後にミュージアムショップで買っちゃったもの。

鳥獣戯画をコマ割りして吹き出しまでつけたクリアファイル。どんだけ国宝をおもちゃにするんですか! ひとつください!
ちなみに高山寺の住職様もお気に入りだそうです。いいんだこれ。
トートバックは見た瞬間に衝動買いしてしまった逸品。このうちどれかは家族にお土産です。
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