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2015.08.31

自動人狼:メタゲームするAI、嘘をつく機械(☆☆☆)

リンク: AIが「人狼」に挑戦! AIによる「人狼知能」大会がCEDEC 2015で開催 - GAME Watch.

リンク: 「人狼知能」大会  | 公式サイト | CEDEC 2015 | Computer Entertainment Developers Conference.

 あとからニュースを見て知ったんでですが、ゲームの開発者向け(だと思ってるんですがよく知りません)CEDECにて、こんな面白い事をやっていたようです。
 人工知能同士で『人狼』を行わせ、強弱を競おう、と言う、ゲームになったと言うか、当世チューリングテストと言う風情。最終的には人間とAIを混ぜて人狼が行えるような状態を目標になっているとの由。気宇壮大です。

 いろいろな記事で紹介されていましたが、週アスさんの記事が踏み込んでいて興味深いものでした。

リンク: ASCII.jp:嘘を見抜ける人工知能が衝撃的すぎる (1/5).

 わけても面白いと思ったのは、圧倒的な強さを見せたAIの取っていた戦術への考察です。
 「どうやって勝つか」よりも、対戦相手の振る舞いを学習し、その癖を見抜いて、「相手がこう振る舞ったら、その背景はこういう状況」みたいな推察を組み立てていたようなのです。

 ほかの人工知能は1回1回のゲームで勝つためのルールを考え、正しい決断を下すことに全力を注いでいた。しかし饂飩は「このプレイヤーはこの役割を与えられるとこう行動する」というゲーム外の法則をとらえることで人狼、あるいは村人と思われるプレイヤーを見抜いたのではないかというのだ。
(上記記事より)

 テーブルトークやアナログゲームが好きでよくやっている身の上ですが、仲間内で時々使う用語に「メタゲーム」と言うのがあります。
 旧知のプレイヤーと一緒に遊ぶ、特にTRPGを行う際など、その時々の状況やゲーム上での成り行きとは別に、「このプレイヤーはいつもこう振る舞う、だからきっと今回もこうするに違いない」と言う判断が必ず入り込むものです。
 それ自体は、何をしているにしてもよくある、あるある的な話ではありますが。目前の状況よりも、「この人ならこう行動する」と言う、ゲーム外の知見を優先して振る舞う場合をとくに指して、メタゲームと言う事が多い、気がします。いやまあきちんと定義したことがないからなのですが。

 なので、このニュースを聞いたとき、はじめて思ったのは、「AIがメタゲームしてる」と言うこと。
 恐らく、このAIを作成された方はもともとのゲームに詳しかったのではないかと思います。なのでこういうふうにゲーマー的な知見を持ったAIを拵えたんじゃないかな、とか想像するのですが。
 それにしても、これは人工知能の、あるいはロボットの文脈からも、おっもしろい話だと思うのです。相手の情報を収集し、どう振る舞うかによって答えを変える。ここだけ取り出すと中国語の部屋みたいな話になっていきそうですが、人間も付き合いが古くなり、相手のリアクションに対して経験が蓄積していくたび、振る舞いの精度というか、そういうものが上がっていくものだと思います。それが親しくなることの意味だと思えば、この枠組みで「親しく振る舞うAI」とかできちゃんじゃないかな、と思うのです。

 記事後段の重点である、AIが嘘をつく、と言う問題にも、興味深いものはありますが。ひとまずこれにて。実に興味深い自動人狼のお話でありました。

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