八丈行状覚書:周遊編(☆)
・三日間お世話になった部屋を片付け、宿の皆さんにご挨拶に。
・とはいえレンタカーは一日借りてますし、飛行機の時間まで荷物を預かって頂けるので。荷物を預けて身軽になり、レンタカーで出発です。
・この日は四日間で天候的には一番きびしく、ことに朝方はかなりのもので。ずっと帰りの飛行機の心配をしつつも。まずは初日にほぼ断念したふれあい牧場に向かうことに。
・ところで借りていたレンタカーは、かなりの年代物の軽のワンボックス。坂道になるとベタ踏みしっぱなしでも時速10kmも出なかったりする(そしてエンジンは猛烈な勢いで唸り続けている)と言う老兵ぶり。最終日はギアの切り替わりが異常に遅いと言う追加効果も発生し、運転している紅崎さんをひやひやさせておりました。僕らはそのたびに「頑張れクリスティーン!」「君はやればできる子だクリスティーン!」としきりと応援を。もう車にクリスティーンって名前をつけてる時点ですでにアレがナニですが(参考)。
・クリスティーンに鞭打ちつつ、初日よりもさらに霧深い牧場へ。牧場は山の斜面にあり、島を一望できるはずなのですが、霧が深くなにも見えません。
・どのくらい霧が深いかと言うと、「展望台からなにも見えない」のではなく、「展望台が見えない」レベルです。牛が鳴いてるのは聞こえるけど、牛が見えない。
・もう霧と言うより雲の中にいるレベルで、四方八方から霧雨が吹き付けてきてもはやずぶ濡れに。
・それでも展望台まで行きましたが、むろんなにも見えず。ようやく牛が見えるようになったので、牛でかいなあ! なんか人なつっこいなあ、とか思いつつ、建物の中へ。ほんとならここでジャージー牛乳を貰うはずだったのですが、ここ2年ほど、この牧場では牛乳を売ってないとのこと。そもそも現在、この牧場では売れるほど取れていなくて、取れた分も下に降ろしているのだそうです。言われてはじめて気付きましたが、放牧されているのも真っ黒な肉牛でした。そういえばそうだ。詳しくは聞きませんでしたが、他に畜産をしているところがあるようで、そこの牛乳を使って八丈牛乳製品を作っているのだそうです。
・目的のものは手に入りませんでしたが、そういうものなのか、と納得。ジェラートをいただいて(これがおいしかった)、雨が大人しくなるのを待ち、斜面を下ります。
・いったん空港に寄り、飛行機の様子を確認しつつお土産売り場にて土産物を物色してあれこれ確保。東京直送にそのまま乗せ、早めにお昼に向かいます。
・お昼に向かったのは、あしたばうどんのお店・名代一休庵。ダイビングの先生に教えてもらい、二日目に行こうとしたんですが、すごい混んでて断念したお店。開店前に並んだおかげで、なんとか入れましたが、確かにすごい人気でした。
・これはいったいパーコーメン、って感じのビジュアルですが、冷やしとんかつあしたばうどん。
・あしたばの粉末を練り込んだ緑色ってあたりが印象的な、しかして正統的においしい東日本系のうどんでありました。出るときもすっごい並んでて、さすがの感じ。
・さて食後、郵便局に寄って、荷物の発送の手配などなどを済ませたあと。いよいよ時間があったら挑戦したい、と言っていた、八丈島一周にチャレンジします。
・二つの山の間にある平野部の南、大賀郷からスタート。トンネルと橋が出来る前は、島最大の交通の難所だった大坂トンネルを上ります。そこから振り返ってみた光景が冒頭の写真。八丈富士と八丈小島、三重根の漁港に南原千畳敷を望む光景は、そこに夕陽が加わったとき。八丈島の八つの絶景、八丈八景のひとつに数えられた、大阪夕照の風景となるものです。
・大坂トンネルを抜けて、樫立集落を抜けて中之郷へ。温泉地が多い中之郷には、二日目に寄った黄八丈の工房のほか、東京電力の地熱博物館に併設された解説施設・地熱館があります。ここはよく覚えてる、小さい頃に来たことがあります……。入場券がわりにメダルが貰えるとか、完全に記憶の通りでした。
・内容は、八丈島の成り立ちや地質的条件…… 小さい小島の集まりがあったところに、三原山こと東山が連続噴火し、島が一度形成されでずいぶん経ってから、八丈富士こと西山が噴火してくっついたこと…… などから始まって。地熱発電の仕組みなどについて、実験の様子を見せつつ説明しています。
・八丈島は地熱発電が盛んで、解説によれば島の電力の4割は実に地熱で賄っているとのよし。解説ビデオでも流れていて、あとで烏羽さんにも聞いたんですが、アイスランドなどは特に地熱を積極的に利用しているのだそうです。
・地熱発電できる場所が限られていることや、実験を繰り返して運用開始まで時間がかかること、それに地熱発電できるようなところはそもそも温泉が盛んで理解が得られにくいだろうこと(干渉しあうものではない、と言う話をしていましたが)などなど。地熱の可能性について納得しつつ。困難多いだろうけど発展してほしいものだなあ、と思った次第。
・それにしてもまあ、すごい匂いでした。
・さて、三原山を下って中之郷に下り、反時計回りに島を周遊します。島の最南端、二日目に行った住吉地区のみはらしの湯の前を通り、北側にぬけると、複雑な山の稜線の道をうねうねと走る三原山北側斜面、登龍峠の道です。
・見はらしのいいところで、ときどき海を見つつも。人家もまばら、車ともすれ違わない、と言うような光景がしばらく続き。草刈りをしている作業車を見つけて心底ほっとしたりしているうち。岸壁にタイルで龍がレリーフされているのを目撃。なるほど、これが登龍峠なんですな。
・クリスティーンのご機嫌を取りつつ、峠を抜けて下りていく。途中、一回だけ自転車、スポルティーフとすれ違いました。……そうえいば、ここでじゃないですけども。島では二回くらい、ゴーカードに乗った二人組とすれ違いましたが、それはともかく。登龍峠の反対側入口のレリーフを見届けて、展望台へ。
・天気がよければ三宅島まで見える、と言うお話でしたが。天気はやや持ち直していたものの、残念ながらさすがにそこまでは見えず。八丈富士に小島、眼下に平野を一望する眺めは、大坂トンネルからの眺めとちょうど対になって美しいものでした。
・さて山を下りて人里へ。人里に下りて最初に見たのがお墓というのもどうかとは思いましたが、ともあれ時間も大丈夫そうなので、一周を続行。花火大会の準備が進む底土港の方へと向かい、ダイビングを体験した神湊の岸壁の横を抜けて、八丈富士を北回りでぐるりと回ります。
・地熱館での説明にもあったとおり、複雑な三原山に比べて、道がうねうねとはしていません。高低差はたまにぐうっと上下するくらいはありますが、道幅も広く、ときどき覗く海の眺めも絶品です。ぐるうーっと回り込んだところで八丈小島の正面に回り込み、これは、と皆で下りて撮影することに。
・まるで島の上に、もうひとつ雲の島があるよう。
・ぼくらのなかま、クリスティーン(仮名)の勇姿とともに。
・八丈富士を一周し、もうほとんど戻ってきました。島の南側、南原千畳敷へ。
・八丈富士の噴石や溶岩が固まって出来た海岸線で、真っ黒で巨大な岩がごろごろしている風景で。強い波がぶつかり潮を吹き上げる様は、殺風景ながらも圧倒的でありました。台風のために波が強く、どうもウミガメが流されているっぽい光景も目にしましたよ。
・八丈小島を望む、太平洋側の風景。
・ここでしばらくえっちらおっちらと、岩を登ったり波の様子を見物したりしたあと。なにか彫像がある、と思ったら、宇喜多秀家と豪姫だったのを見たりしたあと。
・まだ時間がある、と解り、近くにあるらしい喫茶店へ。案内板を見つつ繁みの中に(車で)入るも、これほんとに大丈夫か、注文の多い料理店みたいな雰囲気になってきた、と思っていたら、繁みの中からとつぜんに、洒脱な建物が現れました。
・空間舎さんで、かき氷をつついて一休み。もちろんここでもあしたばでした。
・さていよいよ、帰る時間が近づいてきました。クリスティーンともそろそろお別れです。
・ガソリンスタンドで給油して、宿に戻って。車を返したら、ちょっと時間は早いですが、空港まで送っていただけることに。
・さて空港について、あとはあまり語る事が多くありません。
・搭乗手続きをぱたぱたすませ、ヘリが来てる! と興奮したりしているうち、飛行機に乗る時間に。帰りは気流の関係なのか、早かった行きよりもさらに早く。八丈島からわずか40分ほどで、羽田空港に到着しておりました。
・最後は蒲田にて、旅の無事の終了を祝って、蒲田にてビールとソーセージで乾杯。
・遊びすぎて親戚巡りをしていないという、とほほな失敗にはセルフ目をつぶりつつ。
・ダイビングまたやってみたいなー、あのお店また行きたいなー、と。まだ足りないまだほしい、と思うということは、これはつまり楽しかったんだな、と今にしても思う。
・そんなこんなで四日間。山あり海ありうまいものあり、離島で過ごしたゆかいな夏休みのお話でありました。おしまい。
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コメント
おあつらえ向きの霧まで出て来てカーペンター大会ですね。
投稿: サンドマン | 2015.08.12 22:33
「旅先で 二言目には インセイン」
なんてのをひねり出しましてね。
投稿: sn@散財 | 2015.08.14 09:08