弱く優しく小さなヒーロー、人生出直し大作戦:「アントマン:セカンド・チャンスマン」(☆☆☆)
そんなわけで、セカンド・チャンスマンのほうも買ってきて、一気に読了してしまいました。
二代目アントマン、スコット・ラングを主人公にした、現在のところ最新のシリーズ。すでに映画化のプロジェクトがだいぶ進んでいる時期に開始されたため、スーツのデザインや主人公スコットのキャラクターなど、かなり映画に寄せた感じになっています。
「アントマン:プレリュード」にも第一話だけ掲載されているんですが、そのつづき、ということですね。もうなんかいろいろとあって、新天地で再スタートを切ったスコットの、その後の物語が描かれることになります。
で、出版社が違うので当然といえば当然なんですが、こっちの「セカンドチャンスマン」にも、「アントマンプレリュード」に乗ってた第一話が載ってるんですよね。つまりだぶっているわけで、これは最初、まあしょうがないな、と言うつもりで買ってきたんですけども、いやいやいや、これが面白かった。
この二冊、原作はもちろん同じコミックなんですけど、それぞれで違う方が訳してるので、印象がかなり違うのです。翻訳の読み比べ、それもアメコミの翻訳の読み比べなんていう、なかなかなさそうな事ができて、非常におもしろいものでした。これは原作も手に入れてきて、英語も読み比べてみたいですね。
ちなみに印象としては、先に読んだ「プレリュード」の方が、なんだかスコットが若々しくコメディアンみたいな印象。一方の「セカンドチャンスマン」の方は、もうちょっと小説寄りと言うか、皮肉や自嘲がきつい感じがしますね。同じ話でも印象が相当違うものです。当たり前のことですけど、面白いですねこういうのは。
人類とか地球が危機に陥るような、スケールの大きな事件が起きる訳ではありませんが(ナチのロボットは出てきますが)、人生の出直しに張り切るスコットの奮闘ぶりが、楽しく、そしてもの悲しいストーリー。
いろいろとしくじったり貧乏くじを引いたり、あるいはいきなり爆死したり。ヒーローのわりにはいいとこなしな人生を歩んできたスコット。傍目から見れば、まあちょっと弱い人間ではありますが。
強くも正しくもなく、自力では空を飛べない。そんな彼だからこそ、言える言葉、誰かに与えられるチャンスがあり、そして下すことができる決断があると思うのです。
スケールが小さいと言われるかもわかりませんが、そんな人情を感じる物語でありました。映画とどう関わってるかはお楽しみということで、こちらもひとつ。
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