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2015.09.14

ふたりの男、ひとりのヒーロー。アントマン:プレリュード(☆☆☆)

アントマン:プレリュード(仮) (ShoPro Books)

リンク: アントマン|映画|マーベル|Marvel|.

 アイアンマン、キャプテンアメリカ、マイティ・ソー。綺羅星のようなヒーローたちの世界に加わる新たなヒーロー、その名はアントマン!
 彼の能力は「縮小化」。物質を縮小する驚異の物質ピム粒子の力で、体のサイズを自在に縮め、誰にも気付かれずどこにでも潜入する。彼を助ける軍団は、本物のアリ達。テレパシーを放つヘルメットの力で、アントマンは彼らと意志を通じ合わせる。小さな仲間の力を借りて。小さな男は人知れぬまま、周囲の状況を変えるのだ。

 アントマンはふたりいた。彼の名はハンク・ピム。アントマン、もうひとりの彼の名は、スコット・ラング。
 脅威のピム粒子の発見者であり、かつて初代アントマンとして活躍した天才科学者ハンク・ピム。そして今日、その名を受け継ぎアントマンとなった、スコット・ラング。犯罪者。

 一人娘を溺愛する、父であり技術者だったスコット・ラングはなぜ犯罪に手を染めたのか? なぜ初代アントマン、ハンク・ピムのことを誰一人語らなかったのか。そしてなぜ、スコット・ラングはアントマンとなったのか?
 その答えは劇場にある。でも、その手掛かりは、この一冊の中にある……。

 てなわけで、いよいよ今週末公開になります「アントマン」。ボンクラのひとりとして大変楽しみにしておりますボンクラアクション大作なのですが。このアントマン、いままでのマーブルヒーローものと、ちょっとちがうところがあります。それというのも、アントマンが初代と二代目、ふたりいる、と言うことと、それが映画の中でも、そういう設定になっている、ということ。

 これはアメコミ映画としては、結構めずらしい話で。いや、アメコミの原作コミックだと、なにしろキャラクターが昔からいるだけあって、襲名とか中身が変わったとか、名前だけ受け継いだ全然別のヒーローとか、まったく珍しくありません。
 キャプテンアメリカだって、スティーブが死んでバッキーが襲名していた時期がありますし(あとで生き返った)、バットマンでさえブルース・ウェインが死んだときは初代ロビンのディック・グレイソンが三代目として活動していました(実は死んでなかったのたぐいでしたが。あと二代目もいんのかって話ですけどまあそれはまた)。いま邦訳が出ているホークアイなんかは、初代&二代目のダブルホークアイが揃い踏みでがんばっております。

 とはいうものの。お世辞にもこういうのは複雑すぎる設定で、映画とかアニメになる際にはばっさり整理されるのがつねであります。まあだいたいは初代か、いちばん有名な一人(フラッシュとかグリーンランタンとか)が代表でひとりだけ出て来るのがつねなんですけども。このアントマンだと、初代~二代目、と言う設定を、そのまま持ち込んでるんですよね。

 もちろん原作と映画とでは、設定がだいぶ変わっているのですが、生真面目な天才科学者である初代ハンクと、親権のない一人娘を溺愛し、彼女の誇れるパパでありたいと願う二代目スコット、と言う基本的な組み合わせは同じ。ピムが生み出したアントマンを、スコットが受け継いで戦う事になるのも同一です。
 映画の導入編となるこのコミック「アントマン:プレリュード」では、ある意味正反対な二人のアントマンについて、その過去、来歴、そして映画につながるこれからのストーリーを、新作と、従来の作品からの名作選と言う形で紹介しています。

 冒頭は映画の直接の前日単となる二編。初めてアントマンとなったピムの初任務を描く、冷戦時代の短編と、映画のストーリーの直前、スコットの犯した「犯罪」を描く短編。
 そして原作コミックからの名作選としては、スコット・ラングがアントマンを襲名するきっかけを描く前後編。大きな戦いが終わった後、夢うつつのハンク・ピムがみずからの反省を省みる短編。そして最新の「アントマン」単独シリーズより、スコット・ラングが登場する第一話を収録しています。
 ちなみにこの最後の一編、もうなんかスラップスティックなノリでほんと面白いです。アントマンのあの恰好で、就職の面接に行くスコット(しかも行った先はスターク・インダストリー)って、どんだけなんだよと……。
 「履歴書のここのとこ空白ですけど」「あ、そのとき死んでたんで」とか。ほんとひどい。続きも邦訳されてるので日本語で読めますよ。(「アントマン:セカンド・チャンスマン」)。

 そんなこんなで、映画の世界観に原作コミック、旧作に最新作、ピムの物語にスコットの物語と、新旧織り交ぜてバランスよく「アントマン」を説明しているこちらのコミック。ぜひ映画を見る前に、予備知識として見ておくべきだと思います。ご興味のあるかたはぜひ。

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