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2016.03.26

バットマンvsスーパーマン:正義の夜明け未だ遠く(☆☆☆)

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 スーパーマンとゾッド将軍一派による、決戦と大破壊の日から2年弱。その日から、世界はスーパーマン以後となった。
 灰色の空を切り裂いて、スーパーマンは己の善意のもと、世界を、人々を救うため戦っていた。だが世界はスーパーマンに戸惑い、彼との距離を測りかねていた。崇める者、讃える者、非難する者。超越的な力を持った正義のヒーローは、未だにこの世界の一部となって溶け込めてはいなかった。


 世界を揺るがす純粋な善意。その存在は波紋を呼び、その力は疑念を生む。スーパーマンの存在を、その行動を巡り、多くの人々が彼を取り囲み蠢き始める。あるいは政府、あるいは新聞社デイリー・プラネット。天才科学者にして実業家、若きレックス・ルーサー。そして、ゴッサム・シティの大富豪ブルース・ウェイン。彼らをさらに遠くから見守る、謎めいたダイアナ。
 かすかな齟齬が軋轢となり、軋轢が憎悪にくべられたとき。孤立するスーパーマンの前にひとりの男が立ち塞がる。長い長いあいだ孤独の闇に潜み、暗く汚れたゴッサムを守り続けてきた、闇の騎士バットマンが。
 過去と未来、恐怖と希望。秩序と自由、性悪と性善。正義と正義。人間と人間。異なる道を行くふたりのヒーローの対決、それはさらなる新たな時代の、はじまりの火花となる……。

 てなわけで、待望の「バットマンvsスーパーマン」見て参りました。ちょっと気を抜くとすぐにスーパーマンvsバットマンって書きそうになりますが、それはおいといて。
 アメコミヒーロー映画が劇場の定番となってくれて、二大出版社たるDCとマーヴルの作品が次々公開されるようになって。もうそれももはや随分経ったものですが。こと実写作品としては、どうしてもマーヴルがDCに一歩先んじている感がありました。
 自前でスタジオを持ち、作品をコントロールできる強みを存分に生かしたマーヴルの好調は、今はおくとして。対するDC側も、決して手をこまねいてはいませんでした。テレビドラマシリーズに力を入れ、「アロー」を皮切りに「フラッシュ」「ゴッサム」とつぎつぎと良作を送り出し、そしていよいよ次は映画作品となってやってきたのが、この「バットマンvsスーパーマン」。

 ストーリーとしては、スーパーマンが登場する前作「マン・オブ・スティール」の完全な続編。ただキャラクターが引き続き登場していると言うだけではなく、ストーリー運びを含め細かい点まで、前作の要素がかなり濃厚に持ち込まれています。ことに冒頭の一連の展開は、前作を(細かいポイントまで)押さえておかないと、ちょっと理解に時間がかかってしまうかも。
 前作はスーパーマン映画ということで、今作も主役の片方は引き続きスーパーマン。そしてもう一人の主役が、このシリーズでは今回初登場となるバットマンです。今作のバットマンは、すでのこの時点で相当なベテラン。20年近くもゴッサムシティを守るために戦い続け、それまでに少なくない苦難に見舞われたことが…… ちょっとした台詞や舞台の背景で…… 語られています。
 すでに満身創痍で、己自身を「犯罪者」と自嘲するバットマン。彼を支える執事のアルフレッドももちろん登場。ちょっとひねたユーモアで、バットマンを激励し支えるアルフレッドは、今回はコミック版に近い感じの、なんでもできる万能の執事。小洒落たことを言いながら、エンジニア顔負けの作業をこなす「紳士付きの紳士」の姿は必見です。

 ヒーロー二人の周囲で暗躍する、天才レックス・ルーサーは、終始ハイテンションで、天才肌と言うか芸術家肌と言うか、あんまり見たことのなかったイメージ。しかも長髪。怪演と言うべきこのレックスと、要所要所で現れる謎の美女…… ということにまだしておきますね…… ダイアナがこれまた素晴らしく。二人がそれぞれ出て来るシーンで、場がばっと持って行かれる感があります。それぞれが活躍するシーンでの音楽が、また劇的ですばらしく。特にダイアナが登場するときの、あの音楽はもう、音のいいところで聞いておくべきと思います。特に低音がいいところで。

 そんな感じで、新キャラクターの動きや演技は総じて素晴らしく、そのう、印象としては、前作組の、つまりはスーパーマン側の人達にももうちょっと頑張ってほしい感がというか、そんな印象はちょっと。
 ばっと一回見た感想、ストーリーとしては何故と思うところ(詳しくは言えませんけど、あの人あんな大事なものをどうしてあんな適当にとかこう)もあり、いろいろ都合があって乗せ過ぎちゃったんじゃないかと思える部分もありますが。
 これから始まるDCの作品群、その曙光、幕開けとなる作品を、この頂上決戦から切り込んだ、と言う事実。二大ヒーロー夢の対決に、足をお運び頂ければと思う次第です。

 ……そして予告で見た、次回作「スーサイド・スクワッド」が、またびっくりするほど最高でした。
 こちらは9月と言うことですが、もう今から楽しみ……!

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