シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ:揺らぐ情念、揺るがぬ信念(☆☆☆)
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犠牲のない勝利は有りえない。だが、勝利のための犠牲は許されるのか?
戦士なら、戦争なら、争いの当事者なら、覚悟を持てるだろう。矜恃も持てるだろう。だが、巨大な激突に踏みつぶされた人々は? 声なき声は届かないのか。正義を標榜する戦士達には。
決して答えの出ない疑問、決して逃れられない矛盾。地上最強のアベンジャーズを、この最強の敵は真っ二つに引き裂いた。
果てることなき悪との戦いの日々。それは事故かあるいは過失か、人々が巻き添えになるのを避けようとして、アベンジャーズは違う人々を巻き添えにしてしまう。
すでに限界まで高まっていた全世界の警戒心は、これで一気に吹きこぼれた。鼠を捕らえる優れた猫、だが猫には首輪が必要だ。アベンジャーズを国連の管理下に置く、この決定を前に。受け入れるか、引退するか、アベンジャー達はそれぞれの決断を迫られる。
歓迎する者、納得しない者、情勢を見て飲み込もうとする者。わずかと言うには大きな綻びを見せ始めたアベンジャーズの前に現れる、行方を眩ませていたウィンターソルジャー、バッキー・バーンズの影。
最後の引き金が引かれ、決裂した二派のヒーロー達。それぞれに戦力を加え、お互いの信条、お互いの情念のため走り始める。正面から全力で激突するよりほかない、破局への一本道を。
勝者も敗者も、多くを失うシビルウォー、その向こうに何があるのか。その先にあるいは正義がないことを知りながら、彼らは避けられぬ戦いへ雪崩れ込んでいく……。
とまあそんな塩梅でですね。見てきました楽しんできましたシビルウォー!
しょっぱなから不満を述べてしまうとすれば、これはキャプテン・アメリカ3って言うよりアベンジャーズ3じゃないかなーと。キャプテンアメリカ3は別に撮ってあげないと可哀想なんじゃないかなーと思うくらい、完全ばっちばちにアベンジャーズ映画でありました……! まあもともと、キャプテンアメリカシリーズは、直後のアベンジャーズに優秀なトスを出している作品群ではあるのですが。これはちょっと、登場人物の多さから言っても、別格というか、別枠ではないかと。
とにかく登場人物は豪華と言うもおろかと言うくらい豪華。登場人物を羅列するだけでも途中で読み飛ばしそうになるくらい多いですけれども。
10人を超えるスーパーヒーロー達、古参も新参も含めて、皆にそれぞれ、戦いに対する動機、なぜ二派のどちらに着いたのか、を説明させ、バトル的にも能力的にも、それにお茶目気味なシーンも含めて見どころ見せ所を用意してくる、その構成たるやほんととんでもない代物。
なんていうかこう、脇役好きにはたまらないを通り越して。ちょっと脇役っぽい扱いだからこそやらせることができる、細かい演出にこまごまやられておりました。具体的にはヴィジョンのことですが。
繰り返しになりますが、なにぶん登場人物が非常に多く、掘り下げ方には各キャラクターごとに、充分不十分があるとは思いますが、もうちょっとお願いします、と思うのは、空気扱いではなく、それなりに掘り下げがあるからこそ抱く感慨。僕もアントマンはもうちょっと描き込んで欲しかった気はしますけども、でもまあうれしい。
前作で初登場となった二人、ヴィジョンとスカーレットウィッチの掘り下げ方も嬉しいですし、映画には初登場である黒豹の戦士ブラックパンサーの凄味、他タイトルには初の出張となるアントマンの、なんていうかはしゃぎっぷりも非常に楽しさ。
でまあ、もう一人ものすごく有名な人が出てきますけど、彼も出番ちょっとだけかと思ったらものすごくたっぷり出てきて大変満足でありました……。今からこんな出しちゃって大丈夫なの……!
理想を信じ、現実なるものに疑いを抱くキャプテンと、理想と現実とに折り合いをつけようとするアイアンマンの、それぞれの相容れぬ苦悩。それぞれに忠実な友人であろうとするファルコンとウォーマシンをはじめ、それぞれの理由で戦いに身を投じるヒーロー達。
個人の信念は決して揺るがない、しかし人の情念は大きく揺れ動く。そして、戦いである以上、そこには決着がある。
くしくも「バットマンvsスーパーマン」に続いて、ヒーロー同士が対決する映画が続いて公開されたわけなんですが。そのあたりを睨みつつ、ヒーロー達の大立回りに心振るわせつつ。ああもあろうこうもあるとう、見たあとで色々意見をぶつけ合いたくなる、そんな大スペクタクルでありました。
逆にここまで来ると、最初にシビルウォー見てから、アベンジャーズシリーズ見始めるのもありのような気がしてきました。わかんなくても楽しい。かなり楽しい。
そんな一本でありました。ぜひひとつ。
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