ヒーローのいる世界に生まれる、ヒーローを目指すヒーロー:スパイダーマン:ホームカミング(☆☆☆☆)
リンク: 映画『スパイダーマン:ホームカミング』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ.
ピーター・パーカーの人生は、わずか14歳で有頂天へとひっくり返った。
自らスパイダーマンを名乗っていたヒーロー志望の少年は、あのアイアンマンにスカウトされスーツを与えられて、名だたるヒーロー達の戦列に加わったのだ。戦う相手はキャプテン・アメリカ、そして世界に名だたるヒーロー達。キャップのシールドを奇襲で奪い、スパイダーマンは鮮やかに密かにデビューした。
日常に戻っても、高揚は冷めることはない。スパイダーマンとして街に親切を振りまきながら、ピーターは15歳になっていた。
トニーに認められ、一人前になることを目指して。ヒーローと高校生の二重生活に苦労しつつ、偶然つかんだ事件の手掛かりをまっしぐらに追うピーター。そのひたむきな追跡は、やがてスパイダーマンを翼を纏う男ヴァルチャーに、彼自身の敵、戦うべき敵に、導くこととなっていく。
空回りを繰り返し失敗を繰り返し、それでも挫折することなく突き進むピーター。なにかをしたい。成し遂げたい。それが果たすべき大いなる責任。誰もが知っている、誰も見たことがないスパイダーマンが、スクリーンに帰ってきた!
てなわけで、スパイダーマン:ホームカミング。最高にいい意味でちゃきちゃきした映画。正調のヒーロー映画、正調の少年冒険活劇でありました。
マーベルの一連の映画シリーズ、ヒーロー映画のフォーマットをきっちり守った上で、実は他のジャンルの映画っぽくもある、と言うパターンをよく見るのですが、今回はきっちりヒーロー映画、と言うよりも、古いヒーロー映画はきっとこうだったのだろうと思わせる、古典感を感じさせる雰囲気になっているかと思います。
これはなんていうか、近頃珍しいくらい前向きな、主人公の性格が大きいんじゃないかと思います。
これまでの映画作品のスパイダーマンが、苦悩するヒーロー、起きてしまったこと、これから起きるかも知れない事に常に思い悩むヒーローだとしたら、今作のスパイダーマンは、悩むよりもまず行動するヒーロー。
ピーターが恐れているのは、失敗することよりも、行動しないこと。行動できないこと。空回りしても、失敗しても、大きな力に伴う大きな責任を果たそうと、つねに一生懸命になっている。
そして前向きな主人公を支えるのは、恐ろしい敵役と、憎めない三枚目。敵役ヴァルチャーを演じるマイケル・キートンの凄味と重圧は息苦しいほど。
一方、三枚目枠のピーターの友人ネッドは、これまたなんというか、お人好しで太っちょで若干いらんことしいと言う、最近あんまり見ない感じの判りやすい脇役で。彼とピーターの男子男子した掛け合いが、作品のムードをつねに明るく保っている感があります。
思い返してみて。この作品の筋書きがあるのは、これまでスパイダーマンの映画が辿ってきた、過去の経緯があってこそなのだと思います。
「ヒーローに憧れるヒーロー」が描けるのは、他のヒーローの、例えばアイアンマンの存在があるからこそですし、すでにスパイダーマンとして世界へと登場済みであることも、マーベルの映画シリーズの一作だから出来る事。。
そして過去作でベンおじさんの悲劇が繰り返し語り継がれたからこそ、スパイダーマンがすでにいる世界を描ける。過去作の蓄積を余さず生かした成果なんだなと思います。
これまでの映画の成果をお土産に、マーベル映画に帰ってきたスパイダーマン。元気でひたむきなヒーローの姿を皆さんもぜひ。
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