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2021.08.08

【本の感想】目指すべき天下の雛形:城郭考古学の冒険 (幻冬舎新書)

城郭考古学の冒険 (幻冬舎新書)

 馬出し文化は世界共通!
 城郭考古学者の著者が「お城」について語り尽くす一冊。城郭考古学の紹介から、城郭探訪の誘い、日本と世界の城郭の共通点と差分点を解き明かし、現代に残る城郭の、数々の「今そこにある危機」を指摘する。

 天守があって石垣がある、そんななんとなくでイメージする所謂「お城」が、極めて短い期間に成立・伝播した「織豊系城郭」であること。そしてその構造そのものが、織田信長を初めとする天下人や戦国大名が、目標とする政治体制、支配体制のイメージを具現化したものである、と解き明かす。

 熱量と軽妙さを併せ持ち、おりおり露骨に沼に引っ張り込もうとする、読んで楽しく、出掛けたくなる著作。実際読んでる最中、近所の山城跡に出掛けてきてしまいました。楽しく学べる一冊です。

 ここから下は、読んでいて、いろいろ気になったことのメモ。
 織豊系城郭(いわゆるお城)の特徴として、支配者である大名の空間と、家来である家臣達の空間を切り離し、明確に上下関係を与えた、とあります。それは織田信長や豊臣秀吉などが、自身に権力を集中させ、トップダウンのリーダーとして君臨する事を、形で示しています。多くの戦国大名は(信長の若い頃の織田家でも)、親族や有力家臣による家臣団が強い力を持っていました。
それを踏まえて、そもそもなんか変な疑問が浮かんだのですが。信長って、天下取る気あったのかなーと。

 戦国時代はまったく勉強不足なもので、これから学習しなきゃなー、と思っているのですが。
 今川義元が上洛を狙っていたのは、まあわかります。そもそも今川家は足利宗家の継承権を持つ家柄であって、足利が絶えれば吉良が継ぎ、吉良が絶えれば今川が継ぐ、と言われていたくらい。もともと機内にいた大名はともかく、それ以外の戦国大名は、自分の支配地を守る、隙あらば隣接地を切り取る、と言うことはしていても、外交なんかは内向きであったんじゃないかと、なんかそんな印象があります。
 そんな中、本拠地を転々とする(つまり居城を次々と作っては移す)と言う事を繰り返してまで、織田信長は天下を目指したのかな、と。
 ひょっとしてなのですが。信長がやりたかった目的は、家臣団から自分自身に権力を集中させる、中央集権的なシステムを作り出す事で。天下統一というのは、そのためのスローガンと言うか、「なぜ信長に権力を集中させなくてはいけないのか」と言う疑問に準備した、原稿だったんじゃないかな、と思うのです。


 実際に織田家は拡大し、美濃から近江へと進出し、京都を押さえて全国統一のスタートラインに立ちました。だから信長は天下統一を目指していた、と考えるのが、もちろん普通だと思うんですが、
 なんかちょっと、そのへん斜に構えて学んでみたいな、と思った次第です。

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